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ムツハの家の前には大きな馬車。
どんどん荷物が積み込まれていく。
ムツハが座っていたソファー。
ムツハのお気に入りの絵。
二人でよく見た本。
積み込まれていく荷物を、ぼーっと見ていた。
でも、確実に、事実が私に染み込んできていた。
全ての荷物を積み終えて馬車が去った後、ムツハの家に入った。
いつものように。
がらんとした部屋。何も残されていない部屋。
でも、何故かムツハの気配を感じるような気がして。
身体は自然と、いつも星を見ていた窓辺へ向かった。
「…これ、忘れ物?」
窓辺に小瓶が置かれていて、その下に小さなカード。
『ユチエルにあげるよ ムツハ』
それしか書かれていないカード。
小瓶の中には、飴玉がいっぱい。
甘い香り。
あぁ、ムツハがいつも食べていた飴だ。
「甘いもの好きな男の何が悪い!!」って言いながら、いつも食べてた。
必ずポケットに飴玉が入ってるから、ムツハはいつも甘い香りがしてた。
それも、好きだった。
飴玉しか残していかないなんて、酷いよ、ムツハ。
っていうか、飴玉なんていらないよ。
私がムツハにプレゼントしたいくらいだよ。
プレゼントするから、帰ってきてよ。
一生食べてもなくならないくらい、たくさんの飴玉、あげるから。
だから、帰ってきてよ。
知らぬ間に、声を上げて泣いていた。
あぁ、私はとうとう事実を受け入れてしまった。
もう、一緒に星を眺められないんだね。
雪が降る森の散歩も。
柔らかい黒髪、触れると気持ちよかったんだよ。
私の山吹色の髪が綺麗だって、綺麗な細い指で撫でてくれたよね。
でも、ムツハはもういないんだね。
画:梔子様
【628/六花】
寂しがりなカメレオン娘。
星と雪と動物と甘いのが大好き。
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