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「おいで…。」
いつもとちがう低い声。
とても穏やかで、甘い声。
鼓動が早くなったのは、怖いからでも不安だからでもない。
とても嬉しくて…、だから。
駆け寄りたい衝動を抑えながら、ゆっくりと彼の元へ歩み寄る。
想いのままに近付けば、すっと逃げられてしまいそうな気がして。
そっとそっと近付いて、やっと触れられる距離。
ふいに彼から抱き寄せられて、すっぽりと腕の中に閉じ込められる。
声も出せないほどの驚きと、喜び。
顔を上げて彼を見つめれば、優しく髪を撫でてくれる。
(ずっとこうしたかった…。)
そう思った自分に少し戸惑う。
けれど、一度触れ合った身体は離すことが出来ずに。
いや、離したくなくて。
ふと彼の顔が近付く。
(あぁ…)
返事のように目を閉じれば、唇にも感じる体温。
閉じた目からは体温と同じ温度の滴がこぼれる。
それは、とても嬉しくて…、だから。
――――――――
まだ夜が明けきらない時間。
目と唇に熱を感じて目が覚める。
思わず唇に触れて確かめ、その指で濡れた目元を拭う。
「夢…、だよね。」
声にしてみることで、夢だと確信する。
夢だったことに安堵する気持ちと、夢だったことを悲しく思う気持ち。
その両方がたしかに心の中にあって、なんだか苦しい。
それは、夢の中の彼が、今はもういないあの人ではなくて、時々会ってお喋りするような所謂お友達のあの人だったから。
忘れてなどいない。
忘れられるはずもない。
今はもういないあの人のことを。
けれど、たしかに惹かれている気持ち。
ずっと友達でいたいと思うのは、離れるのが怖いから…?
きっと友達でしかいられないって、想いは叶わないって、そうわかっているから…?
もう誤魔化せなくなった気持ちを、どう扱えばいいのかわからないまま。
でも、もうきっと止められない。
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明け方って、なんだかちょっと可笑しな夢をみますよね?
…なんて、うふふ♪(と笑って誤魔化してみるー
画:梔子様
【628/六花】
寂しがりなカメレオン娘。
星と雪と動物と甘いのが大好き。
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