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「寝るなー、寝たら死ぬぞー。」
いい、死んでも。
このままこうして君に寄り添っていられるなら。
そう思ったのは本当。
けれど、今はそんな甘い雰囲気ではなく。
「おーい、ユチエル起きろって!!」
もう、ムツハったらロマンチックの欠片もないんだから。
「はいはい、起きますよー。」
雪の降る中、林をぬけた先の小高い丘の上に二人で座り込み、今夜も星空を眺める。
二人で一枚の毛布に包まりながら、熱いコーヒーで温まりつつ。
晴れた星空から雪が降る夜は、いつもこうして二人で夜のピクニック。
「ねぇムツハ、もう眠いよ…。」
起きるとは言ったものの、着実に睡魔が忍び寄ってくる。
いつにもまして星空に目を輝かせるムツハに、もう帰ろうと言おうとしたそのとき。
「ユチエル、見て!!」
その声に、思わずムツハの指差すほうを見る。
「…!!」
ひとつ、流れ星が流れた。
と、続いてふたつみっつと、次々と流れ星が夜空を走る。
まるで大粒の雨が降り注いでいるように。
その美しさに声を出すことが出来ないまま、流れ星たちを見つめ続ける。
「今夜は、流星群が見られるって聞いたから。」
だから、まだ帰らせてもらえなかったのか。
ムツハお得意の悪戯っぽい笑顔に、すべて納得。
その笑顔には弱いんだから、私。
つられて私も笑顔になって、二人で流星群を眺める。
「さてと、俺は何をお願いしようかな。」
「お願い?」
「こんなに流れ星が降ってるのに、お願いしない手はないでしょ?」
「…うん、まぁ、なるほどね。」
意外に欲張りなムツハを可笑しく思いながら、さて何をお願いしようかと考える。
でも本音を言えば、自分の願い事を考えるよりも、ムツハが何をお願いするのかが気になって気になって。
「ムツハは願い事きまった?」
さりげなく聞いてはみたものの。
「うん、決まった。けど内緒♪」
やっぱりさらりとかわされて。
お互い何をお願いしたかは内緒のまま、流星群に願いを託す。
二人でこうして流星群を眺めて、願い事をして。
ロマンチックな事、出来るじゃない、ムツハ。
「ありがとうね、ムツハ。」
「また一緒に見ような、流星群。」
「うん、約束だからね!」
私の願い事はもう叶っちゃったみたい、この約束で。
画:梔子様
【628/六花】
寂しがりなカメレオン娘。
星と雪と動物と甘いのが大好き。
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